パッシブデザインの日射熱利用暖房はどんな仕組み?
パッシブデザインは、自然エネルギーを活用して1年中快適な空間を実現するという1つの目的のもとで設計されますが、実は5つの要素を軸に考えられています。
5つの要素の特徴やポイントを意識することで、より効果的に省エネや快適さを追求可能です。
そこで今回は、5つの要素の1つである日射熱利用暖房について解説します。
□パッシブデザインの5つの要素
パッシブデザインは5つの要素から成り立ち、それぞれが影響し合うことでパッシブデザインは実現されます。
1.断熱性・気密性
日射熱利用暖房や日射遮蔽によって実現された快適な室温を維持する役割があります。
2.日射遮蔽
日射遮蔽によって夏の暑い日差しを室内に入れないようにすることで、夏でも涼しい空間を実現できます。
3.自然風利用
自然風利用で家全体の空気循環を良くすることで、部屋ごとの温度差が解消され、冷暖房の稼働効率が向上したり、ヒートショックの危険性が下がったりするメリットがあります。
4.昼光利用
太陽光が部屋の奥まで届くような設計をすることで、照明なしでも明るさを確保できます。
5.日射熱利用暖房
日射熱利用暖房は、窓から室内に日射熱を取り込み、暖房として利用する方法です。
この方法のおかげで、暖房の使用量を抑えながらも暖かい空間を実現できます。
□日射熱利用暖房はどんな仕組み?
日射熱利用暖房は、簡単に言うと窓から取り入れた日射熱で部屋の空気を温めるという方法です。
日射熱を暖房として利用するには、3種類の熱の使い方が必要です。
*集熱
まずは部屋に日射熱を集めることから始まります。
効果的に集熱するためには、南側の窓を大きくとったり、窓をできるだけ真南に向くように配置したりするなど設計上での工夫が必要です。
*断熱
集めた熱を逃がさないために、断熱性も重視します。
窓は家の中でも断熱性が低いですが、断熱性が高すぎる窓を採用すると今度は集熱性が低くなる恐れがあるので、集熱と断熱のバランスをとる必要があります。
*蓄熱
集めた熱を寒い夜まで持ち越すためには、蓄熱も大事です。
木造よりもコンクリート造のほうが蓄熱性が高いですが、窓の断熱性と同様に集熱性とのバランスをとる必要があります。
□まとめ
パッシブデザインは、断熱性・気密性、日射遮蔽、自然風利用、昼光利用、日射熱利用暖房という5つの要素を軸に成り立っています。
5つの要素がそれぞれ独立しているのではなく影響し合っており、日射熱利用が役割を果たすには断熱性は欠かせないのです。
より快適で省エネな家を実現するためにも、パッシブデザインの要素の特徴を理解した上で設計を進めていきましょう。